100頭中10頭改善したサプリ。すごい?

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

あるサプリメントを100頭に使ったところ、10頭が改善しました。

一方、プラセボを使った100頭では、5頭が改善しました。

では、このサプリによる「上乗せ効果」はどれくらいでしょう?
→ 犬の腫瘍にサプリは有効?

サプリ群:10%
プラセボ群:5%

10% − 5% = 5%

答え:100頭中5頭分、5%ポイント

5%から10%になったので、「改善率が2倍になった」と表現することもできます。

「2倍」と聞くと、とても大きな効果に感じるかもしれません。

しかし実際には、

サプリを使わなくても改善する動物:100頭中5頭
サプリを使うと改善する動物:100頭中10頭

その差は、100頭中5頭です。

つまり、治療効果を見るときには、「何倍になったか」という相対的な数字だけでなく、実際に何頭分の差があるのかを見ることも大切です。

さらに、この「10%対5%」という差が本当にあるのかを調べるのも、簡単ではありません。

有意水準5%、検出力80%として考えると、この程度の差を統計学的に検出するためには、ざっくり各群430頭前後、合計850頭程度が必要になります。

つまり、効果の差が小さいほど、「本当に効いているのか」を確かめるためには多くの動物を集めた研究が必要になります。

サプリメントでは、このような大規模な研究が行われていません。

だからこそ、実際にサプリメントを使うのであれば、
「何を良くしたくて使うのか」
をあらかじめ決めておくことが大切です。

そして一定期間使っても期待した変化が確認できない場合には、「効いているはず」と考えて漫然と続けるのではなく、本当に続ける意味があるのかを一度見直すという考え方も必要だと思います。
→ 1億円100%と3億円50%、どちらを選ぶ?

もちろん、すべての治療で目に見える改善が必要なわけではありません。腎臓病の進行を遅らせる治療など、今の症状を改善するのではなく、将来の悪化を減らすことを目的とした治療もあります。

大切なのは、
「効く可能性がある」ことと、「この子に効いていると確認できる」ことは別
と考えることです。

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