犬と猫の水難事故

犬や猫を海や川へ連れて行く機会はありますが、水難事故は自然の水辺だけで起こるわけではありません。犬猫の溺水事故について正確な発生件数は分かっていません。

2008年に報告されたアメリカの調査では、淡水に水没した犬25頭、猫3頭の計28頭が検討されています。事故の71%は5~9月に発生し、13頭が川・池・湖などの自然水域、14頭が人工的な水場でした。人工的な水場のうち12頭はプールで、浴槽での事故もありました。

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

「犬は泳げる」とは限らない

事故原因が分かった16頭では、水への転落が5頭、凍った川や湖の氷を踏み抜いた犬が3頭でした。さらに、泳ぎが得意だった犬が水底の泥に足を取られた例、プールカバーの下に閉じ込められた例、泳いでいる最中にけいれん発作を起こした例なども報告されています。

つまり、泳ぎが得意かどうかだけでは安全性を判断できません。疲労、流れ、障害物、病気、予期しない事故などによって、どの犬でも泳げなくなる可能性があります。

溺れた後は呼吸状態に注意

この28頭では、21頭、つまり75%に呼吸器障害が認められました。神経症状も12頭にみられ、最終的に18頭(64%)が退院しました。死亡または安楽死となった10頭のうち9頭では、呼吸不全が死亡または安楽死の主な理由でした。

肺は水難事故で最も障害されやすい臓器です。水を吸い込むと肺胞が水浸しになり、酸素を十分に取り込めなくなることがあります。実際、この報告でも15頭で肺炎または急性肺障害が疑われ、死亡例ではARDS(急性呼吸窮迫症候群)に一致する肺病変も確認されています。

救出後に歩いていても、呼吸が速い、咳をする、苦しそうに呼吸する、元気がない、舌や粘膜が青紫色になる場合にはすぐに受診してください。明らかに水を吸い込んだ場合も、症状が軽く見えても動物病院へ相談してください。
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水から引き上げたら呼吸を確認する

犬や猫を水から引き上げたら、まず意識と呼吸を確認します。正常に呼吸していれば、無理に胸を押したり人工呼吸をしたりする必要はありません。意識がなく正常な呼吸がない場合には、口の中を確認し、泥や草、嘔吐物など目に見える異物を取り除きます。できるだけ早く動物病院へ搬送します。

水難事故を防ぐために

海や川だけでなく、プール、池、浴槽なども水難事故の場所になります。水辺では犬用ライフジャケットを使用し、ノーリードにせず、泳いでいる間は目を離さないことが大切です。

そして、犬が川や海へ流された場合でも、飼い主が装備なしで水へ飛び込むのは危険です。犬との水遊びでは、「犬だから泳げる」と考えるのではなく、泳げなくなったときまで想定して準備することが最大の事故予防になります。

▼ 水から救出したあと、呼吸がおかしいとき
→ 犬・猫の呼吸が苦しそうなとき
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