執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
フィラリア感染圧とは、ある地域・期間において、未予防の犬が感染能力をもつ蚊に刺され、フィラリアに感染する機会の大きさです。
→ 犬のフィラリア予防|検査と予防薬について
ここでは感染圧を簡単に、
感染源となる犬の多さ × 蚊への曝露 × 感染可能期間
で表すことにします。
昔の感染圧を100として、現在は次のようになったと仮定します。
- 感染源となる犬:昔の 50%
- 蚊への曝露:昔の 30%
- 温暖化などによる感染可能期間:昔の 110%
このとき、現在の感染圧は昔の何%くらいになるでしょうか?
答え約17%
計算は、
100 × 0.5 × 0.3 × 1.1 = 16.5
したがって、現在の感染圧は昔の約17%。
この簡易モデルでは、感染圧は約83%低下したことになります。
東京都の収容犬では、フィラリア抗原陽性率が1999~2001年の約46%から、2009~2011年には約23%まで低下しています(昔の50%)。
また、下水道や生活環境の整備による蚊の発生環境の減少や、犬の室内飼育が増えたことで、蚊に刺される機会も減っていると考えられます(昔の30%と仮定)。
一方で、温暖化によって、蚊の体内でフィラリア幼虫が発育できる期間は長くなる方向です(昔の110%)。
それでも、
感染源となる犬が減る × 蚊に刺される機会が減る
という効果が大きければ、全体としてのフィラリア感染圧は大きく低下します。
※「約17%」は、複数のデータをもとに条件を単純化して計算した感染圧の比較モデルです。日本全体の感染圧を直接測定した値ではありません。
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