輸液は、単に「水を入れる治療」ではありません。体のどこに水があり、どの水分や電解質を補いたいのかによって、使う輸液剤は変わります。ここでは、体液の基本から外科・麻酔時の輸液、生理食塩水、維持輸液まで順番に見ていきます。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
1.まず「体の水」がどこにあるか
一般的な成犬では体重の約60%が水分で、その水は細胞内と細胞外に分かれています。「細胞内40%・細胞外20%」「血漿は約5%なのに血液量は約8%」という体液の基本から、手術中に輸液をする意味を考えます。
2.生理食塩水は本当に「生理的」?
生理食塩水は0.9%NaClです。水分補給のために1日分をすべて生理食塩水で入れると、必要な水分だけでなく大量のNaとClも一緒に入ることになります。ここでは、人の維持輸液を例に「水の必要量」と「塩分の必要量」は同じではないことを考えます。
3.維持輸液は何を補っている?
健康な動物でも、尿・便・呼吸などから毎日、水と電解質を失っています。維持輸液は、こうした日常的な喪失を補うための輸液です。水・Na・K、5%ブドウ糖、外科輸液との違いから、維持輸液の中身を考えます。
