犬の急性下痢では、便を固めることだけが治療の目的ではありません。脱水や電解質の乱れを補いながら、腸が本来の働きを取り戻すまで体を支えることが基本になります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
便の見た目だけで重症度は決まらない
急性下痢とは、比較的急に始まった下痢を指します。多くは軽症で自然に改善しますが、一部では脱水や循環不全が進み、入院治療が必要になります。
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重症度を判断するときは、水っぽさ、回数、血の有無だけでなく、元気や食欲、嘔吐、脱水、体温、心拍、循環状態、治療への反応を確認します。
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少量の鮮血が混じっていても全身状態が安定している犬がいる一方、目立つ血便がなくても、吐き続けてぐったりしている犬もいます。
治療の中心は失ったものを補うこと
下痢では、水分とともにナトリウム、クロール、カリウムなどの電解質が失われます。
自分で水を飲める軽症例では飲水を確保しますが、脱水している、飲めない、飲んでも吐く場合には、皮下点滴や静脈点滴が必要です。嘔吐が強ければ吐き気を抑える治療を行い、寄生虫、異物、膵炎、内分泌疾患などが疑われる場合は、検査と原因に応じた治療を加えます。
治療には、次のような方法があります。
すべての犬に同じ薬が必要なわけではありません。また、食べられる状態なら、一律に長時間絶食させるのではなく、消化しやすい食事を少量ずつ与えることが回復を支える場合があります。
早めに受診した方がよい症状
水も飲めない、何度も吐く、ぐったりする、大量の血便や黒い便が出る、強い腹痛がある場合は早めの受診が必要です。子犬、高齢犬、持病のある犬も状態が変化しやすいため注意してください。
急性下痢の治療は、腸が再び水分と栄養を吸収できる状態へ戻るまで、全身を支えることが中心です。
次の記事では、血便と抗菌薬の関係を整理します。
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