犬が下痢をすると、「食べさせるとまた下痢をするから、絶食させた方がよい」と考えることがあります。
しかし、下痢だからという理由だけで、一律に長時間絶食させる必要はありません。食べられる状態なら、消化管に配慮した食事を少量ずつ与えることが治療の一部になります。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
腸粘膜にも栄養が必要
食事は腸にとって単なる負担ではありません。腸の細胞は栄養を利用しながら、粘膜の構造やバリア機能を維持しています。
重症の犬パルボウイルス性腸炎を対象とした小規模な臨床試験でも、入院後早期に経腸栄養を始めた犬は、絶食を続けた犬より元気、食欲、嘔吐、下痢がそれぞれ約1日早く改善しました。
ただし、何度も吐いている、意識状態が悪い、腸閉塞が疑われるといった場合には、すぐに食べさせることが危険なこともあります。重症例での早期経腸栄養は、病院で状態を管理しながら行う治療であり、自宅で無理に食べさせるという意味ではありません。
何を、どのように食べさせる?
急性下痢では、一般に消化しやすく、栄養バランスの取れた食事を、少量ずつ複数回に分けて与えます。急な食事変更、脂肪の多い食べ物、味付けした人の食事、おやつの追加は避けます。
鶏肉と米などの手作り食は短期間に限られることがあり、長く続けると栄養が偏るため、継続については獣医師に相談してください。
適した脂肪量や食物繊維は病態によって異なります。大腸性下痢では、サイリウムなどの水溶性食物繊維が役立つことがあります。
非感染性の急性大腸炎の犬59頭を対象とした臨床試験では、消化性の高い食事を中心とした管理が、メトロニダゾールを加えた管理より良好な結果を示しました。ただし、この結果をすべての下痢に当てはめることはできません。
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食事は単に「下痢でも食べられるもの」ではなく、腸の回復を支える治療の一つです。食べられない、飲めない、何度も吐く、ぐったりする、血便が多い場合は、家庭で食事を工夫する前に動物病院へ相談してください。
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