犬と人の塩分必要量はどれくらい?

・犬と人の塩分必要量は、摂取エネルギー当たりで比べると意外に近い。
・人は必要量よりかなり多くの塩分を摂っており、特に日本人は平均摂取量が多い。
・犬も必要量を少し超えただけで問題になるわけではなく、健康な犬は余分なナトリウムをある程度調節できます。

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

人に必要な塩分は1日約1.5g

「犬に塩分は必要ない」「人間の食べ物は塩分が多いから犬にはよくない」と聞くことがあります。

確かに、人の食べ物を犬にそのまま与えることはおすすめできません。しかし、犬にもナトリウムは必要な栄養素であり、塩分がまったく必要ないわけではありません。
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では、犬と人では、どのくらいの塩分が必要なのでしょうか。 

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のナトリウムの推定平均必要量は1600mgとされています。

食塩に換算すると、
約1.5g/日
です。

つまり、人に必要と考えられている塩分は、意外に少ないのです。

犬に必要な塩分はどれくらい?

FEDIAF(欧州ペットフード工業会)の2025年栄養ガイドラインでは、健康な成犬のナトリウムの最低推奨量は、
0.25~0.29g/1,000kcal
です。

食塩に換算すると、
約0.64~0.74g/1,000kcal
になります。

おおよその目安では、

  • 5kgの犬:約0.23g/日
  • 10kgの犬:約0.39g/日
  • 20kgの犬:約0.66g/日

です。

10kgの犬なら約0.4g、人では約1.5gなので、絶対量では犬の方が少なく見えます。

しかし、人の必要量1.5gを1日2,000kcalとして計算すると、0.75g1,000kcalです。

犬は約0.64~0.74g/1,000kcalなので、摂取エネルギー当たりで見ると、犬と人の塩分必要量はかなり近いことが分かります。

つまり、犬が人より塩分をほとんど必要としないのではなく、体が小さく食べる量も少ないため、1日あたりの必要量が少ないのです。

必要量を少し超えたら危険?

ここで注意したいのは、必要量は「これを超えると危険」という上限ではないことです。

FEDIAFでは、健康な犬でナトリウム3.75g/1,000kcalを摂取しても安全性に問題が認められなかったデータが紹介されています。最低推奨量の0.25~0.29g/1,000kcalと比べると、かなり幅があります。

健康な犬では、ナトリウム摂取量が増えると飲水量が増え、余分なナトリウムは尿から排泄されます。
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したがって、必要量を多少超えたからといって、すぐに塩分過剰になるわけではありません。ただし、「安全に摂れる量」と「積極的に与えた方がよい量」は別です。心臓病や腎臓病などでは塩分制限が必要になることもあります。

WHOは食塩を1日5g未満にすることを推奨

人に必要な食塩は約1.5g/日ですが、WHOは成人の食塩摂取量を、

15g未満

にすることを推奨しています。

これは必要量ではなく、高血圧や心血管疾患を防ぐための目標量です。

日本人は1日約10g摂っている

厚生労働省の「令和6年国民健康・栄養調査」では、20歳以上の日本人の食塩摂取量は平均、
9.6g/日
でした。

つまり、

必要量:約1.5g
WHO推奨:5g未満
日本人の平均:約9.6g

です。

日本人は、必要量の約6倍、WHOの推奨量の約2倍の食塩を摂っていることになります。

なお、夏になると『熱中症予防には塩分補給が必要』と言われますが、普通に食事をしている人が必ず追加の塩分を摂る必要があるわけではありません。大量に汗をかく運動や屋外作業では電解質補給が役立つことがありますが、日常生活では水分と通常の食事で足りることが多いでしょう。

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