執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
ある町の野外に猫が100頭いて、雌雄は半々。
雌猫1頭は年間4頭の子猫を出産しますが、そのうち成猫まで生き残るのは平均1頭。猫の平均寿命は10年とします。
猫の数を100頭のまま増やさないためには、雌猫の何%以上を避妊する必要があるでしょう?
TNRは、trap-neuter-returnの略です。
答え
80%以上
解説
100頭の猫が平均10年生きるとすると、単純計算では、
100頭 ÷ 10年= 1年間に約10頭が死亡
することになります。
猫の数を100頭のまま維持するためには、毎年死亡する10頭と同じくらい、新たに10頭が成猫まで生き残る必要があります。
雌雄が半々なら、100頭のうち雌猫は50頭です。
今回の条件では、未避妊の雌猫1頭から年間4頭の子猫が生まれ、そのうち成猫まで生き残るのは平均1頭です。
そのため、繁殖できる雌猫が10頭いれば、
10頭の雌猫 × 年間1頭=年間10頭
が新たに加わります。
つまり、50頭の雌猫のうち、
10頭が未避妊40頭が避妊済み
であれば、猫の数はおおむね増減しない計算になります。
避妊率は、
40 ÷ 50 × 100 = 80%
したがって、答えは80%以上です。
ただし、これは分かりやすくするために単純化したモデルです。
実際の野外では、地域外から新しい猫が入ってきたり、寿命や子猫の生存率が変わったりします。
また、80%はあくまで「増えも減りもしない」目安です。猫の数を徐々に減らしていくためには、80%を超える高い不妊去勢率を維持することが重要になります。
TNRでは、一部の猫だけを手術するのではなく、地域全体でできるだけ高い不妊去勢率を維持することが大切です。
→ 前橋市でも進む地域猫とTNR|野良猫に餌をあげるだけではダメ?
