猫の尿検査で結晶が出た|結晶=尿石ではない

猫の尿検査で「結晶が出ています」と言われることがあります。

代表的なのはストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶ですが、尿に結晶があることと、膀胱や尿道に尿石があることは同じではありません。

結晶があっても尿石がない猫もいれば、尿石があるのに結晶が見つからないこともあります。

そのため、結晶だけで判断せず、症状や画像検査と合わせて考えることが大切です。

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

尿の結晶とは?

尿にはさまざまなミネラルや老廃物が溶けており、条件によって小さな結晶として析出します。

猫でよくみられるのが、ストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶です。

結晶は尿の中にできた小さな粒で、尿石はそれらの成分などが集まってできた固形物です。
→ 猫のストルバイト尿石|手術せず療法食で溶かせる?

結晶がなくても尿石はある

膀胱にストルバイト尿石があっても、尿検査でストルバイト結晶が出るとは限りません。

反対に、ストルバイト結晶がたくさん見つかっても、尿石があるとは限りません。

2025年のiCatCareガイドラインでも、尿石の成分と尿中の結晶は必ずしも一致しないとされています。

つまり、

「結晶がある=尿石がある」「結晶がない=尿石はない」

どちらも正しくありません。

尿石は画像検査で確認する

血尿や頻尿、排尿時の痛みなどがあり尿石が疑われる場合には、レントゲン検査や超音波検査を行います。

猫ではストルバイト尿石とシュウ酸カルシウム尿石が代表的です。

尿石が見つかった場合は、大きさ、数、場所、尿検査の結果などから種類を推測します。摘出した尿石は成分分析することもできます。

時間がたつと結晶ができることもある

採尿してから時間がたったり、尿を冷蔵保存したりすると、後から結晶が析出することがあります。

そのため、結晶を評価するときは新鮮な尿を調べることが大切です。

2025年のiCatCareガイドラインでは、尿沈渣はできれば採尿後1時間以内に評価することが推奨されています。

尿pHだけでも判断できない

ストルバイトはアルカリ性の尿でできやすく、シュウ酸カルシウムは酸性側の尿と関連します。

ただし尿pHは、食事や採尿までの時間などでも変化します。

そのため、「尿がアルカリ性だからストルバイト尿石」と一度の尿検査だけで決めることはできません。

結晶が出たら療法食が必要?

結晶が見つかったという理由だけで、すべての猫に尿路用療法食が必要なわけではありません。

まず、血尿や頻尿などの症状があるか、実際に尿石があるかを確認します。

ストルバイト尿石は療法食で溶かせることがありますが、シュウ酸カルシウム尿石は食事では溶かせません。

そのため、「結晶が出たから尿を酸性にする」と単純に考えるのは適切ではありません。

結晶とFICは別のもの

血尿や頻尿があり、尿検査で結晶が見つかると、その結晶が症状の原因と思われることがあります。

しかし、猫では特発性膀胱炎(FIC)と結晶尿が同時にみられることもあります。

結晶があるからといって、それだけで症状の原因が結晶とは限りません。
猫の特発性膀胱炎(FIC)|ストレスとの関係・治療と再発予防

雄猫では「尿が出ているか」が重要

雄猫で何度もトイレに行き、尿がほとんど出ていない場合には、尿道閉塞の可能性があります。

尿道閉塞には尿石や結晶が関係することもありますが、FICに伴う炎症や尿道栓子でも起こります。

結晶があるかどうかより、まず尿が実際に出ているかを確認することが重要です。

尿が出ていない可能性がある場合は緊急です。

猫がおしっこに何度も行く・出ない|尿道閉塞は緊急

結晶は尿検査の一つの情報

猫の尿に結晶が見つかっても、それだけで尿石症とは診断できません。

大切なのは、症状、尿比重、尿pH、尿沈渣、レントゲンや超音波検査などを合わせて判断することです。

「結晶をなくすこと」そのものではなく、尿石や膀胱炎などの病気があるのかを見極めることが重要です。

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