猫の糖尿病というと、インスリンの調節が難しい病気、というイメージがありました。ところが今回のガイドラインでは、糖尿病寛解も現実的な治療目標として扱われています。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
症状のない軽度高血糖を見逃さない
まず印象に残ったのが、症状のない軽度高血糖を単なるストレス高血糖として片づけないという考え方です。診察室で血糖が高かっただけでは糖尿病とは言えません。持続する高血糖なのかを、フルクトサミン、家庭での血糖・尿糖測定、CGM(リブレなど)を使って確認します。
新しい治療薬SGLT2阻害薬
新しい治療として、SGLT2阻害薬であるセンベルゴなどについて詳しく説明されています。これは腎臓からブドウ糖を尿中に排泄させることで、インスリンに依存せず血糖を下げる薬です。ただし、すべての糖尿病猫に使えるわけではありません。新規診断で、全身状態が安定している猫が候補になります。肥満の糖尿病猫なら候補になり得るのですかね。
SGLT2阻害薬ではBHBをモニターする
SGLT2阻害薬で特に重要なのがBHB(β-ヒドロキシ酪酸)です。血糖がそれほど高くなくてもケトアシドーシスを起こすEDKAがあるため、治療開始後、とくに最初の2週間は血糖値よりBHBのモニターが重要そう。
糖毒性を解除してβ細胞の回復を目指す
SGLT2阻害薬を使うことで血糖が下がり、glucose toxicity(糖毒性)を解除してβ細胞機能が回復する可能性があるらしい。
インスリン治療のモニタリングも変わった
インスリン治療のモニタリングも昔とはずいぶん変わりました。院内で何度も採血して血糖曲線を作る方法はroutineには推奨されず、CGM、臨床症状、体重を組み合わせて評価する方向になっています。血糖値を完璧にするよりも、猫が多飲多尿などの症状なく元気に暮らせることが目標です。
以前、リブレを自分で使ってみました。研究でも20個ほど買って学生さんの卒論でみてました。犬や猫では途中で取れてしまうこともありますが、血糖値の傾向を知ることはできました。便利になりましたね。
インスリンが効きにくいときは原因を探す
また、インスリンが効きにくい場合には、単純に増量する前にインスリン抵抗性(IR)の原因を探します。歯科疾患、細菌感染、膵炎、IBD、先端巨大症(hypersomatotropism)などが代表です。
先端巨大症は、下垂体照射でコントロールした経験があります。糖尿病の治療を考えていると、腫瘍治療につながってくるのも面白いところです。
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