秋になると、猫の抜け毛が急に増えることがあります。冬毛へ生え替わる「換毛期」によるものです。これにより、毛づくろいで飲み込む毛の量も増えるため、毛玉を吐いたり、便に毛が多く混じったりすることがあります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
秋に抜け毛が増えるのはなぜ?
猫の毛は、気温とともに日照時間の変化にも影響を受けます。秋は夏毛から保温性の高い冬毛へと生え替わるため、古い毛がまとまって抜けます。特にダブルコートの猫では、ブラッシングすると大量の毛が取れることがあります。
完全室内飼育でエアコンや照明の影響を受けている猫では、昔ほど換毛期がはっきりせず、一年を通して少しずつ抜け続けることもあります。
毛玉を吐くのは大丈夫?
猫は毛づくろいの際に抜け毛を飲み込みます。通常は便と一緒に排泄されますが、胃の中にたまった毛を毛玉として吐き出すことがあります。換毛期にたまに毛玉を吐く程度で、その後も食欲や元気があり、普通に食べて排便しているのであれば、大きな問題ではないことが多いでしょう。
一方、「猫だから毛玉を吐くのは普通」と決めつけるものではありません。何度も吐く、毛玉が出ずに液体や食べ物ばかり吐く場合には、胃腸の病気などが隠れていることがあります。
→ 嘔吐のメカニズム|胃だけの問題ではありません
特に次のような場合は動物病院へ相談してください。
- 1日に何度も吐く、数日間繰り返している
- 食欲が落ちた、元気がない
- 吐こうとしているのに何も出ない
- 便が出ない、お腹を痛がる
- 体重が減ってきた
- 毛玉ではなく食事や胃液を頻繁に吐く
大量の毛を飲み込むと、まれに毛球が胃や腸にたまり、通過障害を起こすこともあります。
秋の換毛期にできる対策
もっとも簡単な対策はブラッシングです。抜け落ちる前の毛を取り除けば、猫が毛づくろいで飲み込む量を減らせます。換毛期は普段より回数を増やし、短時間でもこまめに行うとよいでしょう。長毛種では特に重要です。
水分を十分に取れる環境を整え、便の状態も観察してください。毛玉対策用フードやサプリメントが役立つ場合もありますが、頻繁に吐く猫では毛玉対策だけで済ませず、原因を確認した方が安心です。
また、抜け毛と同時に「かゆがる」「皮膚が赤い」「フケが多い」「一部分だけ毛が薄い」といった変化がある場合は、単なる換毛ではない可能性があります。ノミなどの寄生虫、アレルギー、皮膚炎、過剰な毛づくろいなどでも脱毛は起こります。
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秋は抜け毛が増えやすい季節ですが、見るべきなのは毛の量だけではありません。「食欲・元気・嘔吐の回数・便・皮膚の状態」も一緒に確認しておくと、換毛期の正常な変化と病気のサインを見分けやすくなります。
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