「あれ? 首のあたりに何かある……」
猫をなでているときに気づく小さなしこり。「もう少し様子を見てからでいいかな?」と迷うかもしれませんが、猫の場合、そのちょっとした油断が命を縮めることがあります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
受診を迷っていいのは「3日」
猫のしこりを見つけたら、「3日」変わらなければ受診を検討してください。
なぜ「3日」なのか?猫のしこりは悪性の確率が高い
猫のしこり、特に皮下にできるものは、犬に比べて悪性(がん)である確率が高いという特徴があります。もし悪性でなければ、良性腫瘍か炎症(ケンカの傷など)ということになります。また、ワクチン接種による肉腫は炎症状態が長く続いてから診断される、という例外もあります。
しかし、一般的な炎症は数日で引くことが多いものです。3日経っても小さくならない場合には、悪性の可能性を考えて細胞診(FNA)へ進むのが一番安心な流れです。「1週間様子を見よう」と思っている間に、手術で取り切れないサイズまで成長してしまうこともあります。
→ 猫の腫瘍まとめ
即受診を検討すべき「4つのチェックリスト」
以下のどれかに当てはまるなら、明日にも受診をおすすめします。
1. サイズ: 1 cm(ブルーベリーの大きさ)を超えている
2. 期間: 見つけてから3日たっても小さくならない
3. 成長: 数日で明らかに大きくなったと感じる
4. 感触: ゴツゴツして硬い、あるいは皮膚と癒着して動かない
「痛がらない」からこそ、早めの検査が重要
もし検査の結果、ただの脂肪腫や炎症だったら「あぁ、良かった」で済みます。でも、もし悪いものだったとしたら、その数日の差が「根治できるかどうか」の境界線になります。猫は痛みを隠す天才です。しこり自体に痛みがなくても、中では猛スピードで増殖しているかもしれません。
まとめ:猫のしこりに「長い様子見」の選択肢はない
猫のしこりに「様子見」という選択肢は、原則としてありません。「3日たっても消えないな」と思ったら、迷わず診察室のドアを叩いてください。それが、1日でも長く一緒に過ごすための、最も確実な方法です。
→ Time is tissue.|今日の一針、明日の十針
FAQ
検査(細胞診)は痛いですか?麻酔は必要?
通常、麻酔は必要ありません。細い針で細胞を少し採るだけなので、「チクッとする予防接種」くらいの感覚で終わります。数分で済む検査ですので、猫ちゃんへの負担も最小限です。
ワクチンを打った場所にしこりがある気がします。関係ありますか?
猫には「注射部位肉腫」という、ワクチンなどの注射が原因で発生する特殊な腫瘍があります。非常に進行が早いため、「打ってから1ヶ月以上経っても消えない」「2cm以上ある」「増大傾向にある」のいずれかに当てはまる場合は、至急診察を受けてください。
触ると逃げるのですが、痛がっている証拠でしょうか?
痛みがある場合もあれば、単に「触られるのが嫌」な場合もあります。ただ、急に触るのを嫌がるようになったのなら、中で炎症や神経圧迫が起きているサインかもしれません。「痛がっていないから大丈夫」という判断が、猫ちゃんの場合は一番危険です。
