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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
乳腺腫瘍のポイント
避妊手術で発生率を下げる
大部分が悪性腫瘍
大きさが予後因子(大きなものは転移しやすい)
自壊しやすい
急に膨れる腹部のしこり
乳腺は腹側で、腕の付け根から内股まであります。この辺りのできものであれば、乳腺腫瘍の可能性があります。仰向けになっているときに脇から股の間まで撫でてしこりが触れないか確認しましょう。腫瘍の確認方法は細胞診で、他の腫瘍ではないことを確認します。
猫の乳腺腫瘍は基本悪性です。増殖、浸潤、転移のスピードが速いのが特徴です。もちろん例外的に遅いものもありますが、発見したら早期の治療が望まれます。周囲組織への浸潤が速いので、下にある筋肉への固着や皮膚への侵入による自壊も起こりやすくなります。
診断の流れ
腫瘍の診断では、1. 細胞診で腫瘍を特定し、2. 触診、超音波検査、x線検査で腫瘍の大きさと広がりを確認しステージを決め、3. どんな治療に耐えられるか血液検査を行います。猫の乳腺腫瘍の予後因子として、腫瘍の大きさ、手術の大きさ、が有名です。腫瘍の大きさはステージ分類に直結するのですが、2センチ以下のステージ1は3年以上、ステージ2は1年、ステージ3は半年、ステージ4は、1ヶ月くらいが目安となります。そのため、早期発見、早期治療が必要となっています。
腫瘍の広がり
ステージが進むほど、浸潤転移の可能性が増えます。浸潤すると手術野が大きくなり、腫瘍周辺のリンパ節、所属リンパ節、肺転移などの可能性が増えるのです。腫瘍が小さくても最初にしこりができたところから周辺に小さなしこりが広がっていることがあります。そのため、最初に見つけたしこりだけの切除ですとマージンが不十分な場合があります。そのため、脇の下から足の付け根まで切除することもあります。手術範囲が小さいと再発することもあります(大きく切除してもありますが)。
ステージ1であればいいのですが、再発転移の可能性があるステージ2以上では化学療法を検討するべきと考えられます。再発が危惧される場合には、放射線治療もありますが、実際に行う割合は少ないです。
避妊手術の効果
乳腺腫瘍の予防としては避妊手術が有名で、乳腺線組織の容積が影響すると考えられます。1歳までに避妊手術を早く行うことで腫瘍の発生率が10%前後に低下します。
自壊した場合には切除が好ましいのですが、手術ができないときにはMohsペーストによる対応も一考に値します。また、乳腺腫瘍は多発することもあります。同時期もしくは時期をずらして発生することがありますので、両側乳腺を切除することがあります。つまり、手術は大きくなる可能性があるのです。
まとめ
猫の乳腺腫瘍の予防には避妊手術が有効で、しこりが発見された場合、早期の治療が必要です。
しこりは見た目では判断できません。迷った時点で一度検査を受けることが、最も安全な選択です。
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