犬と猫の抗がん剤治療中の子ども・妊婦さんの注意点

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

抗がん剤治療中の犬や猫と、子どもや妊婦さんが一緒に暮らすことは通常可能です。大切なのは、距離を置くことではなく、薬そのものと排泄物に直接触れないようにすることです。

注意すべき場面

注意が必要なのは、主に2つです。

ひとつは、内服薬を飲ませるときです。
もうひとつは、投与後数日間の排泄物を処理するときです。

同じ部屋で過ごすこと、そばにいること、普通になでることが問題になるわけではありません。

薬を飲ませるとき

内服の抗がん剤を飲ませるときは、薬を直接手で触らないことが基本です。投与する人は使い捨て手袋を使い、投与後は手を洗います。

錠剤やカプセルは、自己判断で割ったり砕いたりしないでください。粉が飛んだり、皮膚や粘膜に触れたりすると、不要な曝露につながる可能性があります。飲ませにくい場合は、無理に加工せず、動物病院に相談してください。

薬は、子どもの手が届かない場所に保管します。落とした薬を子どもが拾ったり、口に入れたりしないよう、通常の薬より少し厳密に管理すると安心です。

子どもがいる家庭で気をつけること

子どもには、抗がん剤そのものと排泄物に触らせないことが基本です。小さな子どもは床やトイレ周囲を触りやすく、手を口に入れることもあります。そのため、投与後数日間は、トイレシートや猫砂の処理は大人が行う方が安心です。ただし、近くで過ごす、声をかけるといった普通のふれあいは、通常どおり可能です。

妊婦さんがいる場合

妊婦さんは、不要な薬剤曝露をできるだけ避けるという考え方になります。可能であれば、抗がん剤の投与や排泄物の処理は、妊婦さん以外のご家族が担当する方が安心です。

やむを得ず対応する場合は、手袋を使い、薬を割らない、砕かない、排泄物に直接触れない、処理後に手を洗う。この基本を守りましょう。

排泄物について

投与後48~72時間ほどは、尿や便などに薬剤成分が出やすい時期です。この期間は、大人が処理し、手袋を使い、袋に入れて密閉し、処理後に手を洗うことで十分に対応できます。

詳しい排泄物の扱いは、こちらにまとめています。
抗がん剤を飲ませたペットの排泄物の扱い

ふれあいはどこまで大丈夫か

抗がん剤治療中であっても、必要以上に距離を置く必要はありません。同じ部屋で過ごすこと、そばに寝ていること、やさしくなでることは、通常問題になりません。

ただし、飲ませてすぐに顔を強く舐めさせることや、口周りへの過度な接触は控えると安心です。大切なのは、怖がって避けることではなく、注意すべき場面を知っておくことです。

とはいうものの、「関係ないと思うけど、お嫁さんが流産したから抗がん剤から分子標的剤に変えたい」という方がおられました。どちらも大切。悩む。

まとめ

抗がん剤治療中の犬や猫と、子どもや妊婦さんが一緒に生活することは通常可能です。注意するのは、薬そのものと排泄物への直接接触です。

薬は大人が管理する。
投与時は手袋を使う。
排泄物は大人が処理する。
処理後は手を洗う。

この基本を守れば、過度に怖がる必要はありません。抗がん剤治療は、日常生活を完全に変えるものではなく、少し注意しながら続けていく治療です。

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