ホーム > 腫瘍まとめ > ケア > 犬と猫の「自壊腫瘍」による出血と悪臭にMohsペースト(モーズ軟膏)
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
しこりが破れると治療が難しい
しこりがあると舐めて自壊することがあります。良性腫瘍は小さく皮膚がしっかりしているので自壊することはあまりないです。悪性腫瘍は、急に大きくなり皮膚が弱く破けることがあります。また、違和感で舐めたり掻きむしったりして皮膚表面がなくなることがある。皮膚表面がなくなると感染して臭かったり、出血で血まみれになったりすることがある。
感染には抗生物質、出血にはガーゼで押さえて対応することがある。しかしながら、抗生物質でも感染源を断つことができない。そのため、Mohsペースト(モーズ軟膏:軟膏ではないのですがこう呼ばれることがあります)というものがある。この中に塩化亜鉛が入っており傷口に塗ることで化学的に焼灼する。
Mohsペーストの欠点
このMohsペーストは亜鉛華デンプンを使うが、このデンプンの性状がすぐに変わるので、使うときに作る必要がある。塗ったものを取り除くときは洗い流す必要もあり使い勝手が悪かった。さらには、塩化亜鉛は重金属に分類され下水に流すのははばかられる。
基剤にCMCという解決策
亜鉛華デンプンの代わりにいいものがないか、福山先生と探しました。その結果、カルボキシメチルセルロース(CMC)がいいということがわかりました。CMCと塩化亜鉛を混ぜたゾルを鶏肉に付けて30分放置して取り除こうとするとゲルになってました。洗い流す必要がなかったので便利なことに気づきました。
おじさん2人(福山先生と私)は大喜び。後にこの発見が福山先生の学位に結びつくのですが。塩化亜鉛、CMC、水の配合を研究し、第1号(moM-CMC)が完成する。
使い捨て、洗浄不要
従来のMohsペーストは、混ぜるために乳鉢と、乳棒を使い、最後に洗い流すという手間がありました。新しいmoM-CMCは使い捨てカップで作り、塗ったら固まり、30分後に剥がすだけという簡単なものです。ただ、無色透明なので関係ないところに付着しても気づかないという欠点が。そこで、赤の補色の緑色の食品色素を混ぜることに。
効果は変わらず改良
直接的な比較はしてませんが、最初の論文では、悪性腫瘍が自壊して臭く、出血していた病変の一時的な緩和によく効きました。
自壊腫瘍で困ったときには、対処法を一緒に考えましょう。
しこりが癌かも…と不安な方へ。
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こちらが私たちの論文です
従来のMohsペーストの緩和治療
新しいCMCを用いたmoM-CMC
さらに新しい改良型moM-CMC 2.0


獣医師 圓尾真理
獣医師 圓尾拓也
日本獣医がん学会 腫瘍科認定医1種(I種)
放射線取扱主任者1種
博士(獣医学)
エビデンスにもとづいた情報発信に努めます。