パラディア(リン酸トセラニブ)犬と猫の分子標的薬

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

犬では、肥満細胞腫で承認されていますが、適応外使用として、肛門嚢腺がん、甲状腺がん、骨肉腫の転移、口腔内メラノーマ、インスリノーマなどで使われることがあります。猫では、すべて適応外使用で、猫の肥満細胞腫、口腔内扁平上皮がん、乳腺腫瘍、膵腺がんなどで報告があります。

パラディアとは

パラディアは、チロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれる薬です。がん細胞は、増えるための信号を出したり、新しい血管を作らせたりします。パラディアは、その信号の一部をブロックします。主な標的は、c-KIT、VEGFR、PDGFRなどです。

簡単にいうと、がん細胞が増えるスイッチや、栄養を送る血管を作るスイッチの一部を抑える薬です。

期待する効果

パラディアは、がんを完全に消すことだけを目的にする薬ではありません。実際の治療では、腫瘍が小さくなることもありますが、大きくなるスピードを遅くする、症状をやわらげる、生活の質を保てる期間を延ばす、といった目的で使うことも多い薬です。

飲ませ方

パラディアは内服薬です。隔日投与もしくは週3回投与で開始します。状況によっては週2回に減らすこともあります。

副作用

抗がん剤よりは副作用が少ないとされていますが、食欲低下、下痢、嘔吐、元気がない、体重減少、白血球減少、肝酵素の上昇などがあります。

とくに、消化器障害(下痢、食欲低下、黒色便、血便)や、ぐったりする、急に食べなくなる、といった変化がある場合は、早めに相談が必要です。

検査をしながら使う薬

パラディアは、飲ませて終わりの薬ではありません。治療中は、血液検査、尿検査、体重測定、血圧測定などを行いながら継続します。とくに開始初期は副作用が出やすいため、こまめな確認が大切です。

副作用が出た場合は、休薬したり、量を減らしたり、投与間隔をあけたりします。無理に続ける薬ではありません。

ほかの薬との併用

パラディアは、ステロイド、消炎鎮痛薬、抗がん剤、胃腸薬などと併用することがあります。ただし、併用によって副作用が増えることもあります。

たとえば、消炎鎮痛薬との併用では胃腸障害に注意が必要です。ビンブラスチンなどの抗がん剤と組み合わせる場合は、骨髄抑制や消化器症状により慎重な管理が必要になります。

家での注意点

パラディアは抗がん剤です。薬を触るときは、できれば手袋を使います。錠剤を割ったり、砕いたりしてはいけません。

投薬後の便や尿にも、一定期間、薬の成分が含まれる可能性があります。処理後は手を洗いましょう。妊娠中の方、小さなお子さんがいる家庭では、薬の保管場所にも注意が必要です。

まとめ

パラディアは、がんの進行を抑え、生活の質を保つために使う薬です。

副作用には、食欲低下、下痢、嘔吐、血液検査の異常、蛋白尿、高血圧などがあります。安全に続けるためには、定期的な検査と、早めの休薬・減量判断が大切です。

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