パラディアは、何回飲んだら終わりという薬ではありません。腫瘍の進行を抑えられていて、副作用も許容できる間は飲ませ続けます。反対に、腫瘍が大きくなる、転移が進む、または副作用で生活の質が下がる場合には、休薬や減量、あるいは中止を考えます。
パラディアの継続期間に決まりがない理由
パラディアは、腫瘍を完全に消すことを目的にする薬ではありません。
・腫瘍の増殖を遅らせる
・腫瘍周囲の血管新生を抑える
・生活の質(QOL)を維持する
ことを目標に使うことが多い薬です。そのため、効果があり、副作用が許容範囲であれば継続します。数か月で終了する犬もいれば、1年以上継続する犬もいます。
効果の判断には時間がかかる
飲み始めてすぐに腫瘍が小さくならないからといって、すぐ無効とは判断しません。多くの場合、数週間から2~3か月ほどかけて、腫瘍の大きさ、体調、食欲、体重、血液検査、尿検査などを見ながら続ける意味があるかを考えます。
注意したい副作用
パラディアで比較的よく見られるのは、食欲低下、嘔吐、下痢、元気消失、体重減少などです。血液検査で白血球や血小板が下がることもあります。
→ パラディア(リン酸トセラニブ)犬と猫の分子標的薬
また、尿にタンパクが出る、腎臓の数値が変わる、アルブミンが下がるといった変化が見つかることもあります。そのため、長く飲む場合には定期的な血液検査や尿検査が大切です。
副作用が出たとき
副作用が出たからといって、すぐに完全中止になるとは限りません。軽い下痢や食欲低下であれば、吐き気止め、整腸剤、食事の調整などをしながら続けられることがあります。
症状が強い場合には、いったん休薬します。体調が戻れば、量を減らしたり、飲む間隔をあけたりして再開することがあります。
ただし、食べない日が続く、水のような下痢が続く、黒い便や血便が出る、ぐったりする、体重が落ちる、呼吸が苦しそう、急に元気がなくなる。このような変化があれば、自己判断で続けず、早めに相談が必要です。
中止を考えるとき
中止を考えるのは、腫瘍が明らかに進行している(薬が効かなくなった)とき、副作用が強く生活の質を下げているとき、休薬や減量をしても同じ副作用を繰り返すときです。
治療の目的が「腫瘍を抑えること」から「苦痛を減らして穏やかに過ごすこと」へ変わる場合にも、中止を選ぶことがあります。
最後に
パラディアは、うまく合えば長く腫瘍を抑えられることがあります。ただし、我慢して飲み続ける薬ではありません。
続けるか、休むか、やめるか。その判断は、腫瘍の大きさだけでは決まりません。食べられているか。動けているか。副作用がつらくないか。家で穏やかに過ごせているか。そこまで含めて、その犬や猫にとっていちばん負担の少ない治療を考えていきます。
手術をするか、抗がん剤を続けるか、どこまで治療するかは、ご家族だけで決めるには難しいことがあります。私たちは、年齢・体力・生活・ご家族の考え方をふまえて、無理なく続けられる選択を一緒に考えます。
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