高齢犬・高齢猫の腫瘍治療で大切なこと

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

高齢のペットにしこりが見つかると、「もう歳だから治療は無理かな…」と弱気になってしまうのは自然なことです。でも、実は「高齢だからこそ」知っておいてほしい大切な視点があります。

シニア期の腫瘍治療に向き合うための3つのポイントをまとめました。

しこりについて全体像を知りたい方は「腫瘍トップ」をご覧ください。

1. 年齢だけで治療を諦めるべきではない理由

「15歳だから手術は無理」と、年齢という数字だけで治療を諦める必要はありません。今の獣医療では、麻酔の技術や術前検査が非常に進歩しています。

大切なのは「実年齢」よりも、心臓や腎臓などの「臓器がどれくらい元気か」という身体年齢です。たとえ高齢でも、内臓の数値に問題がなければ、安全に手術や治療を受けられるケースはたくさんあります。逆に、治療をしないことで腫瘍による痛みや出血が続き、かえって体力を削ってしまうこともあります。まずは「今のこの子の体で、何ができるか」を獣医師と相談してみてください。

2. QOL(生活の質)の考え方

高齢の子の治療で一番の目的になるのは、多くの場合「完治」ではなく「QOL(生活の質)の維持」です。QOLとは、その子がその子らしく、穏やかに過ごせる度合いのこと。

たとえば、「自分でおいしくご飯が食べられる」「夜はぐっすり眠れる」「家族の声に尻尾を振れる」といった、当たり前の日常をどれだけ守れるかが重要です。無理にがんをゼロにしようとして、強い副作用でぐったりさせてしまうのは本末転倒かもしれません。多少がんが残っていても、痛みがなく元気に過ごせているなら、それは立派な「治療の成功」といえます。

高齢でも諦める必要はありません。
15歳でもできることがあります。

3. リスクとメリットの整理方法

治療を迷ったときは、頭の中にある不安を「リスク」と「メリット」に分けて書き出してみるのがおすすめです。

リスク: 麻酔の負担、入院によるストレス、副作用の可能性、通院の頻度など。
メリット: 痛みが取れる、出血が止まる、自分でご飯が食べられるようになる、寿命が延びるなど。

これらを並べたときに、「治療の負担」よりも「治療後に得られる楽な時間」が上回ると判断できれば、それは前向きな選択になります。逆に、負担が大きすぎると感じるなら、無理をせず「痛み止めだけを使う緩和ケア」を選ぶのも、一つの正解です。

まとめ

高齢の子の治療に「唯一の正解」はありません。飼い主さんが「この子にどう過ごしてほしいか」を一番に考え、納得して選んだ道が、その子にとっての最善になります。

もし迷いや不安があれば、そのまま獣医師に伝えてみてください。一緒にその子だけの「ベストな選択」を見つけていきましょう。

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