犬と猫の腫瘍(しこり)はうつる?人や他のペットに感染するのか解説

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

犬や猫の体にしこりを見つけたとき、「この腫瘍は他の子にうつるのではないか」と不安になる方も多いと思います。

犬と猫の腫瘍はうつる?基本的にはうつりません

結論からお伝えすると、ほとんどの腫瘍は他の動物や人にうつることはありません。まずはこの点について、安心していただいて大丈夫です。例外として直接、同じ動物種にうつる腫瘍はまれにあります。犬の可移植性性器肉腫とタスマニアデビルの顔の腫瘍が有名です。あと、猫白血病ウイルスが伝播し、腫瘍となることがあります。

感染症は、感染源、感染経路、感受性宿主の3つの要素

犬にうつる可移植性性器肉腫は日本では発生が極めて低く、ほぼ絶滅しています。つまり、感染源がありません。感染を媒介する野良犬もいません。ですので可移植性器肉腫はありません。一方、猫白血病ウイルス感染症については、ケンカや濃厚接触が感染経路となります。室内飼育であったり個別飼育であったりと感染経路がありません。また、ワクチンがありますので、感受性個体(うつりやすい個体)も減っています。

腫瘍はうつりません 人にもうつりません
・動物が異なると輸血しても壊れます
・同じ動物でも免疫抑制剤を使わないと細胞は移植できません

他者の腫瘍は異物として攻撃されます

じゃ、それ以外の腫瘍はどうかというところですが、感受性宿主にしかうつりません。血液型が合わないと輸血しても血液が壊され排除されます。骨髄移植で組織のタイプを似通わせても、合わないと部分があるので免疫抑制剤が必要となります。他人の細胞が体に入って生き残るのは大変なのです。

免疫攻撃を回避できるものだけ移植可能

唯一、免疫抑制剤を使わなくても腫瘍を移植できるのは、免疫のない動物か、同じ組織であるクローンへの接種になります。ヌードマウスは免疫がないので移植可能。クローンもクローン元と同じなので拒絶がありません。

腫瘍がうつればノーベル賞、と冗談を言う人もいるくらい。それほどあり得ないのです。ですので、腫瘍の子を触っても人にはうつりませんし、同居動物にもうつりません。ご安心ください。ですから、我々獣医師も心配なく腫瘍の診察ができるわけです。

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