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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
犬や猫のがんが見つかったとき、治療費のことが心配になるのは当然です。
「お金がないから治療できない」
「手術や抗がん剤をすすめられたけれど払えない」
そう考えて、自分を責めるかもしれません。
犬や猫のがん治療は、この数十年で大きく変わりました。50年前、大きな手術はできませんでした。40年前まで抗がん剤はありませんでした。30年前まで放射線治療もできませんでした。治療ができないことも当たり前でした。
そのような治療を選ばないことが、「何もできない」という意味ではありません。
高額な治療だけが選択肢ではありません
がん治療というと、手術、放射線治療、抗がん剤を思い浮かべる方が多いと思います。確かに、これらの治療によって余命が延びたり、生活の質が保たれたりする場合があります。
一方で、費用や通院の負担が大きく、現実的に難しいこともあります。そのような場合でも、できることはあります。
痛みを和らげる治療。
食欲を保つ治療。
吐き気を抑える治療。
出血や感染を抑える治療。
がんを完全になくす治療ではなくても、つらさを減らし、穏やかな時間を保つ治療があります。
獣医師に予算を伝えてください
「お金の話をすると失礼」
そう思う方もいます。しかし、実際には予算によって選べる治療は変わります。
10万円で考えるのか。
30万円で考えるのか。
100万円まで考えるのか。
同じ病気でも、提案できる内容は変わります。予算を伝えることは、恥ずかしいことではありません。むしろ、最初に伝えていただいた方が、話もフォーカスできるため選択肢を一緒に考えやすくなります。
治療しないことを選ぶ場合もあります
理想的な治療があったとしても、現実には費用、通院距離、時間、家族の体力、犬や猫の性格など、さまざまな制約があります。お伺いした状況を勘案し積極的な治療をお勧めしないこともあります。
その代わりに、痛みを減らし、食べられる時間を保ち、穏やかに過ごせるよう支える治療を行うことがあります。治療をしないことは、何もしないことではありません。
「がんを治す治療」は選ばなくても、「苦しさを減らす治療」は選べることがあります。
後悔しないために
治療をしても後悔することがあります。治療をしなくても後悔することがあります。だからこそ、「何ができなかったか」ではなく、「どのように考えて決めたか」かです。費用の問題があっても、できることがゼロになるわけではありません。
まずは予算も含めて、獣医師へ相談もしくは受付の方にひと声かけください。
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