犬や猫のがん治療では、ご家族の意見が合わないことがあります。手術をしたい人、抗がん剤を考えたい人、もうつらい治療はしたくない人。意見が合わないときに大切なのは、何が負担が少なく、穏やかな時間につながるかを考えてはいかがでしょうか。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
治療することも、治療しないことも、家族の判断です
犬や猫は、自分で治療を選ぶことができません。そのためご家族が代わりに考えます。
手術をする。抗がん剤をする。緩和ケアを選ぶ。治療をしないで家で過ごす。
どの選択にも、ご家族の願いが入ります。長く一緒にいたい。苦しませたくない。できることはしてあげたい。家で静かに過ごさせたい。どれも自然な気持ちです。
まず治療の目的をそろえる
ご家族で話すときは、最初に治療の目的をそろえると考えやすくなります。
治すための治療なのか。再発や転移を遅らせる治療なのか。痛みを減らす治療なのか。食べられるようにする治療なのか。苦しさを減らして家で過ごすための治療なのか。
同じ「治療」という言葉でも、目的が違うと選ぶ方法も変わります。目的がずれたまま話すと、「やる」「やらない」の対立になりやすくなります。
お金と通院の負担も、きちんと話してよい
がん治療では、費用のことも避けて通れません。手術、抗がん剤、放射線治療、検査、通院、薬、入院。治療が長くなるほど、家族の負担も大きくなります。
お金の話をすると、冷たいように感じるかもしれません。でも、現実的な予算を決めることは悪いことではありません。
無理をして家族が疲れきってしまうと、犬や猫のケアも続けにくくなります。どこまでなら続けられるか。どこから先は難しいか。家族で先に話しておくことは大切です。
介護する人の負担も考える
家族の中で、実際に通院する人、薬を飲ませる人、食事を用意する人、夜に様子を見る人が決まってくることがあります。
その人だけに負担が偏ると、だんだん苦しくなります。治療を続けたい人と、実際に介護している人の見え方が違うこともあります。
セカンドオピニオンを使ってもよい
ご家族の意見がどうしても合わないときは、別の獣医師に相談するのもひとつの方法です。
セカンドオピニオンは、主治医を疑うためだけのものではありません。治療の目的、見通し、選択肢を整理するために使うものです。
第三者の意見を聞くことで、「ここまでは治療をする」「ここから先は緩和を優先する」とご家族で決めやすくなることがあります。
家族で決めたことに、答え合わせをしない
がん治療では、あとから「これでよかったのか」と思うことがあります。手術をしても、しなくても。抗がん剤をしても、しなくても。どの道を選んでも、迷いは残ります。
でも、そのときの情報、そのときの体調、そのときの家族の状況で、一生懸命考えて決めたのであれば、それはそのご家族の答えです。
ペットを迎えることも、人の願いです。治療をすることも、治療をしないことも、人の判断です。
この世の中に、その子が生きる場所を作ってあげた。一緒に暮らした。名前を呼んだ。ごはんを用意した。最後まで気にかけた。
それだけでも、十分なのだと思います。
まとめ
犬や猫のがん治療で家族の意見が合わないときは、「治療するか、しないか」だけで考えると苦しくなります。
治療の目的、期待できること、負担、費用、通院、介護する人の体力、そして犬や猫の生活の質を一つずつ整理して考えることが大切です。
大切なのは、ご家族が考え、話し合い、穏やかな時間につながる選択をしていくことです。
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