大型犬の避妊・去勢は「1歳半」まで待つべき?犬種ごとに考える手術時期

• 小型犬: 大型犬ほど早期手術による整形外科的影響が問題にならないことが多いですが、時期は個別に判断します。
• 大型・超大型犬: 骨格・関節の成熟や犬種ごとの病気のリスクを考え、6か月齢で一律に行わず、より遅い時期を検討します。

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

「生後6ヶ月になったら避妊・去勢手術」

かつては、望まれない犬猫を増やさないために正当化されてました。子犬は知り合いから譲ってもらうもの、子猫は拾うもの、というイメージでしたから。野良犬、野良猫が減ってからは、「病気予防」のためとされてきました。しかし、近年の大規模な研究データによって、その常識は変わりつつあります。
→ 保健所の子犬・子猫と向き合った日々

性ホルモンは「成長の指揮者」

特に大型犬・超大型犬においては、「いつ手術するか」が、将来の「がんのリスク」や「足腰の健康」を大きく左右することが分かってきたのです。性ホルモン(エストロゲンやテストステロン)は、単に生殖のためだけのものではありません。動物の体全体を健やかに育てる重要な役割を担っています。

「骨格」を正しく完成させるブレーキ役

性ホルモンには成長板の閉鎖に関わる役割があります。思春期前に避妊・去勢を行うと成長板の閉鎖が遅れることが知られており、特に大型犬では前十字靱帯損傷や股関節・肘関節疾患などとの関連が報告されています。

性ホルモンと一部の腫瘍リスク

性ホルモンを失うことと、一部の腫瘍発生との関連も報告されています。原因はまだ十分には分かっておらず、性ホルモンそのものだけでなく、gonadectomy後のLH上昇など複数の因子が研究されています。特にゴールデン・レトリーバーなど一部の犬種では、早期の避妊・去勢と一部の腫瘍の発生率との関連が報告されています。ただし、因果関係は単純ではなく、犬種や性別、手術時期などによって結果は異なります。

「乳腺腫瘍」と「他の病気」の天秤

早期避妊によって乳腺腫瘍の発生リスクが低下する可能性はあります。ただし、以前よく引用された「初回発情前ならほぼ予防できる」という数字は、現在ではそれほど強いエビデンスとは考えられていません。乳腺腫瘍予防だけで避妊時期を決めるのではなく、犬種や体格、ほかの病気のリスクも合わせて判断します。

大型犬の場合、この「乳腺腫瘍を防ぐメリット」と、骨・関節疾患や一部の腫瘍リスクをできるだけ避けることを、その子の犬種特性に合わせて慎重に天秤にかける必要があります。
→ 犬の乳腺腫瘍、良性・悪性の見分け方

まとめ

一律に「6ヶ月」と決めるのではなく、エビデンスに基づいた「タイミング」や手術の必要性の有無をご提案しています。

• 小型犬: 大型犬ほど早期手術による整形外科的影響が問題にならないことが多いですが、時期は個別に判断します。
• 大型・超大型犬: 骨格・関節の成熟や犬種ごとの病気のリスクを考え、6か月齢で一律に行わず、より遅い時期を検討します。

最新の知見に基づき、ご家族と一緒に、その子にとって無理のない手術時期を考えていきます。
→ 犬と猫の麻酔・手術について

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→ 犬と猫の麻酔・手術について
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