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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
腫瘍を取ったのに、なぜまたできるのか
腫瘍を手術で取り除いたにもかかわらず、しばらくして同じ場所に再びしこりができることがあります。「きれいに取れたはずなのに、なぜ再発するのか」と疑問に感じる方は少なくありません。結論から言うと、腫瘍が再発する大きな理由の一つは、目に見えないがん細胞が周囲に残っていることです。
見えているのは「一部」にすぎない
特に柔らかいしこりでは、表面に膜のような構造があり、「ここまでが腫瘍」と判断しやすいことがあります。
しかし実際には、その外側に微小ながん細胞が、しみ出すように広がっていることが少なくありません。これは、雑草を抜いたつもりでも、地中に根が残っている状態に似ています。表面だけを見るときれいに取れたように見えても、根が残っていれば、そこから再び生えてきてしまいます。
見えない広がりが再発の原因になる
この“見えない広がり”は、触診や通常の画像検査でも完全に把握することが難しいことがあります。
そのため、手術で目に見える部分だけを取り除いた場合でも、周囲に残った細胞から再び増殖し、再発につながることがあります。特に軟部組織肉腫のような腫瘍では、この傾向が強く、「偽膜」と呼ばれる構造の外側にがん細胞が広がっていることが知られています。このような腫瘍では、腫瘍だけをくり抜くような手術では再発のリスクが高くなります。
再発を防ぐための「マージン」という考え方
再発を防ぐために重要なのが、「マージン」という考え方です。これは、腫瘍の周囲にある正常な組織を含めて、少し広めに切除することで、目に見えないがん細胞ごと取り除こうとする手術戦略です。見た目には「取りすぎ」に感じられることもありますが、この余裕が再発を防ぐための重要な要素になります。イメージとしては、雑草を根ごと抜くために、周囲の土ごと少し広く掘り起こすようなものです。
腫瘍の種類によって再発の仕方は異なる
ここで重要なのは、すべての腫瘍が同じように再発するわけではないという点です。例えば膀胱腫瘍では、同じ場所に「取り残し」があるというよりも、尿という環境の中で腫瘍細胞ができやすく、結果として同じ部位や周囲に再び病変が見つかることがあります。この場合、単純な“切り残し”とは少し異なる再発の仕方をします。また、肥満細胞腫では、一つのしこりを取っても、別の場所に新たな腫瘍ができる「多発性」の経過をとることがあります。これも見た目には「再発」のように見えますが、実際には新しく発生しているケースも含まれます。このように、腫瘍の種類や性質によって、再発の仕組みは大きく異なります。
最初の治療が予後を大きく左右する
腫瘍治療において重要なのは、「最初の治療でどこまで確実にコントロールできるか」です。一度再発した腫瘍は、周囲組織との癒着や広がりによって、二度目の手術が難しくなることが多いためです。腫瘍が再発するかどうかは、運だけで決まるものではありません。最初の診断と治療方針が大きく関わります。
だからこそ、「どこまで広がっているのか」「どのように切除するのか」を事前にしっかり考えることが、長期的な予後を左右します。
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