ASA-PS分類とは、犬や猫の麻酔前の全身状態を、獣医療チームで共有するための分類です。年齢だけではなく、持病、症状、身体検査や検査結果などをもとに評価します。ただし、ASA-PSだけで麻酔の安全性や手術の可否が決まるわけではありません。
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ASA-PS分類とは?
ASA-PS分類は、人の麻酔科で使われている評価方法で、獣医療でも麻酔前の全身状態を整理するために使われます。正式には「American Society of Anesthesiologists Physical Status classification」と呼ばれ、「麻酔前の健康状態の分類」です。これは健康に近い状態なのか、持病があるのか、命に関わる状態なのかを整理するための目安です。
犬や猫ではどう使う?
犬や猫では、年齢だけで麻酔リスクを決めることはできません。若くても重い心臓病がある、腎不全で脱水している、呼吸が苦しいといった状態であれば、麻酔リスクは高くなります。
高齢であることだけを理由にASA-PSが決まるわけではありません。ただし、高齢の犬や猫では、心臓・腎臓・呼吸器などの病気や、臓器の予備能力の低下が隠れていることがあります。そのため、診察や必要な検査を行い、個別に評価することが重要です。
つまり、「何歳か」よりも、「今どんな状態か」が重要です。ASA-PSのクラスが高いほど、周術期のリスクも高くなる傾向があります。ただし、ASA-PSだけで個々の麻酔リスクを正確に予測することはできません。
ASA-PS分類のイメージ
ASA-PS 1は、明らかな持病がない健康な犬や猫です。若い犬猫の避妊・去勢手術などがこれに近い状態です。
ASA-PS 2は、軽い持病や軽度の異常がある状態です。軽度の心雑音、軽い肥満、全身状態への影響の小さい持病などが含まれることがあります。
ASA-PS 3になると、日常生活や麻酔管理に影響する病気がある状態です。中等度の心臓病、腎臓病、脱水などがある場合には、この段階として考えることがあります。
ASA-PS 4は、命に関わる病気があり、麻酔そのもののリスクがかなり高い状態です。重度の呼吸困難やショック状態などが含まれます。
ASA-PS 5は、麻酔や手術を行わなければ救命が難しい状態です。
誰がいつ評価するか
ASA-PSは、診察、持病、症状、身体検査、必要な検査結果などを踏まえ、麻酔前に獣医師が評価します。脱水や循環状態など、事前に対応できる問題があれば、可能な範囲で全身状態を安定させたうえで再評価します。
また、緊急処置ではクラスの後ろに「E」を付け、ASA-PS 3Eなどと表すことがあります。評価には獣医師による判断の違いが生じることもあります。
まとめ
ASA-PS分類は、麻酔前の犬や猫の全身状態を整理するための分類です。分類が高いほど周術期の危険性は高くなる傾向がありますが、実際の麻酔リスクは、手術内容、緊急性、麻酔方法、モニタリング体制なども含めて判断します。
脱水や循環状態など、事前に改善できる問題があれば可能な範囲で安定化し、麻酔前に改めて評価します。
ASA-PSだけでは決まらない、実際の麻酔リスクや手術前検査については「犬・猫の麻酔リスクはどう判断する?」で詳しく解説しています。
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