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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
クッシング症候群は、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれます。体の中でコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。中高齢の犬でよく見られ、猫ではまれです。
ゆっくり進行するため、「年を取ったからかな」「食欲があるから大丈夫かな」と思われることがあります。しかし、放置すると高血圧、糖尿病、血栓症、感染症などにつながることがあります。
よく見られる症状
犬のクッシング症候群で多いのは、水をたくさん飲む、おしっこが増える、食欲が増す、お腹が膨らむ、毛が薄くなる、皮膚が薄くなる、といった変化です。
元気なため、病気と気づきにくいです。
お腹が膨らむ理由
クッシング症候群では、お腹がぽっこり膨らんで見えることがあります。これは単に太っただけではありません。
コルチゾールの影響で筋肉が薄くなり、お腹を支える力が弱くなります。また、肝臓にグリコーゲンという糖の一種がたまり、肝臓が大きくなることがあります。そのため、足や背中はやせているのに、お腹だけ出ているように見えます。
原因
原因は大きく3つあります。
最も多いのは、脳の下垂体にできた小さな腫瘍が副腎を刺激し続けるタイプです。犬のクッシング症候群の多くはこのタイプです。
次に、副腎そのものに腫瘍ができ、コルチゾールを過剰に作るタイプがあります。
もう一つは、皮膚病や関節炎などでステロイド薬を長く使った結果として起こる医原性クッシング症候群です。この場合、自己判断で急にステロイドを中止すると危険なことがあります。
診断
血液検査では、ALPの上昇、コレステロールの上昇、尿比重の低下などが手がかりになります。
症状、血液検査、尿検査、超音波検査を組み合わせ、必要に応じてACTH刺激試験やデキサメタゾン抑制試験などのホルモン検査を行います。
治療
犬では、トリロスタンという薬でコルチゾールの産生を抑える治療がよく行われます。
ただし、薬が効きすぎると副腎皮質機能低下症、いわゆるアジソン病のような状態になることがあります。元気がない、食べない、吐く、下痢をするなどの変化があれば注意が必要です。そのため、治療中は定期的な血液検査とホルモン検査を行います。放射線治療をすることもあります。内服が効かないとき、お薬を飲ませることができないときに選ばれることがあります。
副腎腫瘍が原因の場合は、手術が検討されることもあります。
下垂体腫瘍が大きくなると神経症状を出すことがあります。その場合には、放射線治療があります。
猫のクッシング症候群
猫のクッシング症候群はまれですが、発症すると重い症状になることがあります。糖尿病を併発することが多く、皮膚が非常に薄くなり、少しの刺激で裂けることもあります。
猫で多飲多尿、体重減少、糖尿病のコントロール不良、皮膚の異常が続く場合には、クッシング症候群が隠れていないか確認が必要になることがあります。
まとめ
クッシング症候群は、中高齢の犬で多いホルモンの病気です。水をたくさん飲む、尿が増える、食欲が強い、お腹が膨らむ、毛が薄くなるといった変化が見られます。
元気そうに見えても、体の中では少しずつ負担がかかっていることがあります。年齢のせいと決めつけず、気になる変化があれば早めに相談しましょう。
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