腫瘍トップ > 犬のしこり
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
【迷っている方へ(ここから選べます)】
・柔らかいしこりで不安な方
→【犬のしこりが柔らかいと大丈夫?】
・硬いしこりがあり心配な方
→【犬のしこりが硬いと危険?】
・様子を見ていいのか迷っている方
→【犬のしこりは様子見でいい?】
・検査について詳しく知りたい方
→【しこり・腫瘍の検査方法まとめ】
犬の体にしこりを見つけたとき、「柔らかいから大丈夫?」「動くから良性?」と考えてしまう方は多いと思います。
しかし結論から言うと、しこりは見た目や触った感じだけで良性・悪性を判断することはできません。
しこりには脂肪腫のような良性のものもあれば、肥満細胞腫や肉腫など注意が必要な腫瘍もあります。見た目が似ていても中身はまったく異なるため、「様子見していいしこり」と「すぐに検査すべきしこり」を見極めることが重要です。
犬のしこりとは何か
犬のしこりとは、皮膚や皮下にできる「できもの」の総称です。
その正体はさまざまで、脂肪のかたまり、炎症、嚢胞、腫瘍などが含まれます。
ここで重要なのは、「しこり=腫瘍の可能性がある構造物」ということです。ただし、すべてが悪性というわけではなく、実際には良性のしこりも多く存在します。問題は、それを見た目だけで区別することができない点にあります。
見た目や触った感じで見分けられるのか
結論として、見分けることはできません。
柔らかいしこりやよく動くしこりは良性と考えられがちですが、実際には悪性腫瘍であっても柔らかく動くことがあります。
逆に、硬いしこりでも良性であるケースもあります。
つまり、「柔らかい・硬い」「動く・動かない」といった特徴だけで安全かどうかを判断するのは危険です。
柔らかい・硬いといった特徴だけでは判断できませんが、判断の目安になるポイントはあります。
→【犬のしこりが柔らかいと大丈夫?】
→【犬のしこりが硬いと危険?】
注意が必要なしこりの特徴
次のような変化が見られる場合は、早めの受診が勧められます。
・短期間で大きくなってきた
・硬くて動かない
・表面がただれている、出血している
・しこりの数が増えてきた
・以前より明らかに変化している
ただし、これらに当てはまらないからといって安全とは限りません。見た目が穏やかでも悪性であるケースは珍しくないため、「変化があるかどうか」を継続して見ることが重要です。
しこりを見つけたときの検査
しこりの評価でまず行われることが多いのが「細胞診(FNA)」です。
細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査で、麻酔を使わず短時間で行えることが一般的です。
この検査により、多くの場合で良性か悪性かの方向性を知ることができます。ただし、すべてを確定できるわけではないため、必要に応じて病理組織検査や画像検査が追加されます。
細胞診は比較的簡単に行える検査ですが、確定診断には病理検査が必要になることもあります。
→【細胞診とは?】
→【病理検査を待つ1週間をどう過ごすか】
治療の考え方
治療はしこりの種類によって異なります。
良性であれば経過観察となることもありますが、悪性が疑われる場合には手術や抗がん剤治療(TS-1も)、放射線治療などが検討されます。
重要なのは、「早期に正しく診断すること」です。
診断が早ければ早いほど、選択できる治療の幅が広がります。
受診の目安
「様子を見ていいのか、それともすぐ受診すべきか」と迷うことは少なくありません。
ひとつの目安として、2週間以上変化が続くしこりや、少しでも大きくなっているものは、一度動物病院で評価を受けることをおすすめします。
また、飼い主さまが「何かおかしい」と感じた場合も重要なサインです。違和感をそのままにせず、何科でも結構ですので、早めに相談することで安心につながります。
どうするか迷われている場合は、診療の流れや考え方をまとめています。
→【はじめての方へ(診療の流れとご案内)】をご覧ください
まとめ
犬のしこりは珍しいものではありませんが、その中には注意が必要なものも含まれています。
見た目だけで判断せず、必要に応じて検査を行うことが大切です。
このページでは、犬のしこりについて基本的な考え方を解説しました。
さらに詳しい内容については、それぞれの項目の記事もあわせてご覧ください。
【次に読むなら】
・様子見でいいのか判断したい方
→【犬のしこりは様子見でいい?】
・すぐ受診すべきサインを知りたい方
→【犬のしこりの危険サイン】
・良性と言われたけど不安な方
→【脂肪腫は放置していい?】
・治療について知りたい方
→【腫瘍の治療方法まとめ】
【しこりについて全体像を知りたい方】
・しこり・腫瘍トップページをご覧ください
【関連情報(理解を深めたい方)】
・脂肪腫について詳しく知る
・肥満細胞腫について詳しく知る
・検査方法まとめ:まず正体を知るために
・治療方法まとめ:どのように戦うか
・緩和ケアまとめ:戦わないと決めたときに
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