胸腺腫とは

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

胸腺腫は、胸の中にある「胸腺」という組織から発生する腫瘍です。犬や猫ではあまり多い腫瘍ではありませんが、高齢で見つかることがあります。

胸腺は、若い頃には免疫に関係する臓器ですが、年齢とともに小さくなっていきます。その場所に腫瘍ができるのが胸腺腫です。

胸は骨で囲まれているため、最初は外から見えません。健康診断のレントゲンや、咳・呼吸の異常をきっかけに見つかることがあります。

どんな症状が出る?

胸腺腫では、胸の中で腫瘍が大きくなることで症状が出ることがあります。咳、呼吸が苦しそう、疲れやすい、食欲低下などが見られることがあります。胸に水がたまる「胸水」を伴うこともあり、その場合は呼吸がかなり苦しそうになることがあります。

また、「重症筋無力症」という病気を伴うことがあります。食道が収縮できなくなって広がり、吐きやすくなったり、食べ物をうまく飲み込めなくなったりすることがあります。症状がほとんどなく、偶然見つかることも少なくありません。

どうやって診断する?

まずはレントゲンで胸の中に影が見つかることがあります。ただ、胸の中には心臓やリンパ節もあるため、「何の腫瘍か」を見分けるには超音波検査、CT検査を行います。CT検査を行うと、腫瘍の大きさや位置、周囲との関係が詳しく分かります。

針で細胞を採る検査(FNA)を行うこともありますが、胸の中の腫瘍は場所によって難しいことがあります。また、胸腺腫は細胞診だけでは確定が難しいこともあります。

治療は?

胸腺腫では、手術が選択されることがあります。ただし、胸の中の手術になるため、年齢、呼吸状態、周囲への広がりなどを見ながら慎重に判断します。大きな血管や心臓の近くにある場合は、手術の難易度が高くなることがあります。

放射線治療が選択されることもあります。完全切除が難しい場合や、手術の負担が大きい場合に検討されることがあります。

胸水が多い場合には、まず呼吸を楽にする処置を優先します。

胸腺腫はリンパ球が多く含まれることがあり、これにより高カルシウム血症を呈することがあります。その場合、ステロイドホルモンが有効となります。腫瘍の大きさを一時的に縮小させる効果もあります。

重症筋無力症を併発する場合はそちらへの対処も必要となります。腫瘍が大きいと前大静脈という血管を塞ぎ、前大静脈症候群というものを併発することもあります。原因療法、対症療法を組み合わせて治療を考えます。

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