トラマドールは、犬や猫の痛みをやわらげる目的で使われることがある薬です。手術後の痛み、がんの痛み、関節の痛み、神経の痛みなどで検討されることがあります。
ただし、トラマドールは「どの犬や猫にも同じように効く痛み止め」ではありません。犬と猫では薬の代謝が違い、効き方にも差があります。
犬では効き方にばらつきがあります
犬では、トラマドールが体の中で十分に効く形に変わりにくいことがあります。そのため、以前はよく使われていましたが、最近では「犬の慢性関節痛に単独で使っても効果が分かりにくい」と考えられるようになっています。
特に、変形性関節症のような慢性的な関節痛では、トラマドールだけで痛みをしっかり抑えるのは難しいことがあります。犬では、非ステロイド性消炎鎮痛薬、ガバペンチン、体重管理、運動管理、環境調整などを組み合わせて考えることが多いです。
トラマドールは、まったく意味がない薬というより、犬では「主役になりにくい薬」と考えると分かりやすいと思います。
猫では効果が出やすいことがあります
猫では、トラマドールが体の中で痛み止めとして働く形に変わりやすく、犬より効果が期待しやすいことがあります。手術後の痛みや、慢性的な痛みの管理で使われることがあります。
ただし、猫で大きな問題になるのは苦味です。トラマドールは非常に苦い薬です。そのまま飲ませると、よだれを大量に出す、泡を吹く、薬を嫌がる、次から投薬できなくなる、といったことがあります。
猫に使う場合は、カプセルに入れる、苦味が出ない形にする、投薬後に少量の水やごほうびを使うなど、飲ませ方の工夫が大切です。
よく見られる副作用
トラマドールで見られる副作用には、眠そうにする、ふらつく、ぼんやりする、吐き気、嘔吐、食欲低下、便秘、落ち着きがなくなる、といったものがあります。
犬では「痛みが取れて静かになった」のではなく、薬でぼんやりしているだけのこともあります。効いているかどうかは、歩き方、動き出し、階段や段差、表情、食欲、睡眠の様子などを合わせて判断します。
飲み合わせに注意が必要です
トラマドールは、脳内のセロトニンという神経伝達物質にも影響します。そのため、他の薬との組み合わせによっては、セロトニン症候群という危険な状態を起こすことがあります。
特に、行動治療で使う薬、抗うつ薬、セレギリン、一部の鎮咳薬などを使っている場合は注意が必要です。落ち着きがない、震える、体温が高い、呼吸が荒い、ふらつく、興奮する、といった変化があれば早めに相談してください。
自己判断で増やさない
痛そうだからといって、自己判断で量を増やすことは避けてください。トラマドールは量を増やせば安全に効く薬ではありません。眠気、ふらつき、興奮、吐き気、神経症状などが出ることがあります。
また、人用の薬を家にあるからといって犬や猫に使うのも危険です。製剤によっては、動物に不適切な成分が含まれることがあります。
日本では管理が必要な薬です
トラマドールは、日本では向精神薬として管理される薬です。動物病院でも、保管や管理に注意が必要な薬です。
そのため、残った薬を他の犬や猫に使う、家族や知人に渡す、といったことはできません。処方された動物に、指示された量と回数で使う薬です。
まとめ
トラマドールは、犬や猫の痛み止めとして使われることがある薬です。ただし、犬では効き方にばらつきがあり、慢性的な関節痛では単独で十分な効果が出にくいことがあります。一方、猫では効果が期待できる場面がありますが、強い苦味と副作用に注意が必要です。
大切なのは、「痛み止めを出すこと」ではなく、「本当に痛みが楽になっているか」を確認することです。眠くなって動かないのか、痛みが減って動けるようになったのか。そこを見ながら、その犬や猫に合った痛みの管理を考えていきます。
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