動物病院の放射線の安全管理と「特別教育」の必要性

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執筆:圓尾 拓也(放射線取扱主任者・獣医学博士)

1. 放射線を扱うにあたっての特別教育
2. 放射線治療施設での教育訓練
3. 15年前の記憶
4. 今回の特別教育

放射線を扱うにあたっての特別教育

数日前、奥様から「特別教育が必要らしいよ?」という、やや意味不明なLINEが届きました。内容を読むと、栃木県から獣医師向けに出されたチラシで、今年からX線撮影を行う動物病院では“特別教育”が必要になるというものでした。正直、何のことかよく分かりません。獣医師会のお知らせを確認すると、「これまでも教育は行っているため、新たな対応は不要」との記載。ますます要領を得ません。

放射線治療施設での教育訓練

放射線治療を行う施設では、放射線障害防止法 に基づき、毎年教育訓練を行っています。これはメガボルテージ装置や放射性同位元素を扱う場合に、従事者の安全を担保するためのものです。責任者は、

  • 人体への影響
  • 安全取扱い
  • 法令
  • 予防規程

について教育します。時間は施設ごとに決めていいということで放射線発生装置は電源を切ると安全なので、講習は全部で2時間にしてました。私にとって「教育訓練」は、馴染みのある言葉です。

一方、電離放射線障害防止規則(いわゆる電離則)でも教育に関する規定はありましたが、これまでは努力義務ですのでしなくてもいいという認識でした。自転車のヘルメットという扱い。

15年前の記憶

今から15年ほど前、獣医療法 でも放射線に関する教育訓練が導入され、その年に講演をしたことがあります。ただ、その後あまり話題に上ることもなく、「努力義務の範囲だろう」と深く気にすることはありませんでした。

今回の「特別教育」

ところが今回のポイントは、「特別教育」という言葉です。整理すると、

  • 年1回の実施が必須
  • 記録を5年間保管
  • 講義時間は合計4.5時間

という、より明確な義務になったようです。講義内容と時間は以下の通りです。

  • 放射線の生体影響:   1時間
  • 放射線の管理:    1.5時間
  • 指定X線装置等の取扱い:1時間
  • 関係法令:       1時間

放射線に馴染みのない動物看護師さんも対象なのでこの時間は仕方ない。動物看護師さんはフル受講。獣医師は大学教育で基礎を履修しているため、関係法令以外は免除可能。放射線取扱主任者である私は全免除ですが、奥様に対しては関係法令の説明が必要になりそうです。将来、看護師さんを雇えば、その方にもフルで説明が必要になります。

大切なこと

大学を離れ、放射線管理からも手が離れると思っていたのですが。なかなかそうもいきません。とはいえ、これは決して悪いことではありません。放射線は、正しく使えば非常に有用な診断・治療手段です。だからこそ、

  • 扱う側が理解していること
  • 記録を残すこと
  • 法律を知っていること

が求められます。

刃物は武器にもなれば道具にもなる。放射線を安全に正しく使うには教育が必要ということですね。やれやれ。

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