「もう治療法がない」と言われたら。愛犬・愛猫と穏やかに過ごすための3つの選択肢

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

「もう治療法がない」と言われたとき、それは「これ以上、愛犬・愛猫に辛い思いをさせなくていい」というサインかもしれません。がんと戦わないという選択も、立派な治療のひとつだと考えています。

1. 「がんと戦う」のをやめて、「穏やかな日常」を守る

「戦う(根治=がんを完全に治すこと)」となると、どうしても体に負担のかかる強い治療が必要になることがあります。腫瘍を攻撃する薬は、正常な細胞にも影響を及ぼすため、目に見えなくても体は必死に我慢し、無理を重ねてきたはずです。

視点の切り替え: がんを消し去るのではなく、「がんを抱えたまま、いかに機嫌よく過ごせるか」に目標を移します。

負担の少ない「守りの治療」: たとえば「メトロノミック化学療法」。通常の化学療法は最大量を短い期間に使用しますが、このメトロのミック化学療法は、強い薬をドカンと使うのではなく、低用量のお薬を休みなく飲み続ける方法です。がん細胞を直接叩き潰すのではなく、がんが成長するための「血管」を作らせないようにして、進行をじわじわと遅らせます。副作用を最小限に抑え、体への負担を極力減らす選択肢です。

2. 「辛い治療」ではなく、「痛みを取り除く治療」へ

「何もしないこと(放置)」と「緩和ケア」は全く別物です。私たちは、動物が痛みや苦しみを感じないための努力は惜しみません。

積極的な緩和ケア: 「緩和」というと消極的に聞こえるかもしれませんが、私たちは痛みや「吐き気」を徹底的に取り除くことに全力を注ぎます。これは、病気そのものを治すことと同じくらい、動物にとって価値のある医療です。

QOL(生活の質)の維持: QOLとは、その子が「心地よく生きられているか」という指標です。痛みが和らぐだけで、食欲が戻り、尻尾を振れるようになる子はたくさんいます。

3. 最期まで支える

「戦わない」と決めると、方針はガラリと変わります。

オーダーメイドのケア: 病気の種類や進行具合によって、痛みの出方は異なります。「どのタイミングで、どのお薬を組み合わせるか」が大切になってきます。

家での時間を宝物に: 病院での検査漬けの毎日ではなく、大好きな家で、大好きな家族と過ごす時間を一日でも長く作る。それが私たちの目指す「戦わない治療」のゴールです。

まとめ

「戦わない」という決断は、決して「諦め」ではありません。苦しみを取り除き、尊厳を守ろうとする、飼い主様の「深い愛ゆえの選択」です。

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