犬と猫の胃炎|原因・症状・検査・治療について

犬や猫が吐いたとき、「胃炎かな?」と思うかもしれません。実際、拾い食い、食べ慣れないもの、急なフード変更、異物の誤飲などをきっかけに胃の粘膜が刺激され、急性胃炎を起こすことがあります。

一方で、何度も吐く、食欲が戻らない、体重が減るといった場合には、単純な胃炎ではない可能性があります。腎臓病、膵炎、アジソン病、慢性炎症性腸症(CIE)、消化管腫瘍などでも嘔吐は起こります。

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

胃炎とは?

胃の中には強い胃酸や消化酵素がありますが、通常は粘液や重炭酸、豊富な血流などによって胃粘膜が守られています。この防御機構が崩れると、胃粘膜に炎症やびらん、場合によっては胃潰瘍が生じます。
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急性胃炎では、拾い食い、過食、食事内容の急な変更、異物、感染症などが原因になります。また、NSAIDsと呼ばれる鎮痛薬も胃粘膜障害の原因になることがあります。

慢性的に吐く場合は他の病気も調べます

嘔吐が数週間続いたり、何度も繰り返したりする場合には、胃だけではなく全身を評価します。

犬では、慢性的な嘔吐や下痢、食欲低下、体重減少を示す病気として「慢性炎症性腸症(CIE)」があります。近年は、以前よく使われていたIBDという名称よりもCIEという呼び方が推奨されるようになっています。

CIEでは、まず寄生虫、膵疾患、内分泌疾患、腫瘍などを除外しながら、食事療法への反応を確認します。加水分解タンパク食や新奇タンパク食などの療法食だけで改善する犬も少なくありません。

また、慢性的な消化器症状ではアジソン病も重要な鑑別疾患です。典型的には低ナトリウム血症や高カリウム血症がみられますが、電解質異常が出ないタイプもあります。

猫では膵臓や胆管の病気も注意

猫の慢性的な嘔吐では、胃腸だけでなく膵炎や胆管炎が同時に起きていることがあります。膵臓、胆管、腸の炎症が併発する状態は「三臓器炎」と呼ばれます。

また、中高齢の猫では慢性腸症と低悪性度消化管リンパ腫の症状がよく似ています。どちらも嘔吐、食欲低下、体重減少などを示すため、腹部超音波検査や消化管生検が必要になることがあります。

猫では食欲不振が長引くこと自体も問題です。特に肥満傾向の猫では肝リピドーシスを起こすことがあるため、長期間の絶食は避け、吐き気を抑えながら早期に栄養を再開することが重要です。

動物病院ではどんな検査をする?

まず、嘔吐なのか吐出なのかを確認します。嘔吐では腹部を強く収縮させて吐きますが、吐出では食道にたまった食べ物が前触れなく出てきます。

そのうえで、血液検査、電解質検査、X線検査、腹部超音波検査などを行います。異物、腎臓病、肝胆道疾患、膵炎などを確認し、必要に応じて副腎機能検査や内視鏡検査、生検を追加します。

胃炎の治療

治療は原因によって異なります。

脱水があれば輸液を行い、吐き気が強い場合にはマロピタントやオンダンセトロンなどの制吐薬を使用します。胃潰瘍や食道炎などが疑われる場合には、オメプラゾールなどの胃酸抑制薬やスクラルファートを使用することがあります。

ただし、「吐いているから胃薬」「下痢だから抗菌薬」と一律に使用することは現在では推奨されていません。特に慢性消化器疾患では、不必要な抗菌薬を避け、食事療法を含めて原因に合わせて治療することが重視されています。
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こんな症状は早めに受診を

何度も吐く、水を飲んでも吐く、血を吐く、黒い便が出る、ぐったりしている、お腹を痛がる、異物を食べた可能性がある、体重が減っている、数日たっても食欲が戻らない場合には、早めの受診をおすすめします。

犬や猫の嘔吐は、一時的な胃炎から全身性の病気まで原因がさまざまです。特に繰り返す場合には、胃だけではなく全身を調べることが重要です。

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