犬がハァハァと口を開けて呼吸する「パンティング」は、体温を下げるための正常な反応です。しかし、暑い日に激しいパンティングが続く場合は、熱中症の初期症状かもしれません。
まず冷房の効いた場所へ移し、水を自由に飲めるようにしてください。よだれが多い、舌や歯ぐきが赤い、ふらつく、吐く、ぐったりしている場合は、体を冷やしながら動物病院へ連絡します。
一方、涼しい部屋で休ませてもパンティングが止まらない場合は、痛み、不安、薬の副作用、心臓や呼吸器の病気なども考えられます。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
パンティングが続くときは、まず熱中症を疑う
暑い日や散歩のあとにパンティングが激しい場合は、すぐに冷房の効いた部屋や日陰へ移し、運動を中止してください。水は自由に飲めるようにしますが、嫌がる犬へ無理に飲ませてはいけません。
涼しい場所で安静にすることで、呼吸が少しずつ弱まり、普段の様子へ戻るなら、運動や興奮によるパンティングの可能性があります。
一方、次のような症状がある場合は、熱中症を疑います。
- 激しいパンティングが続く
- よだれが多い
- 舌や歯ぐきが濃い赤色になっている
- 落ち着かず、横になれない
- ふらつく、歩けない
- 吐く、下痢をする
- 反応が鈍い、ぐったりしている
熱中症は、体温が高いかどうかだけでは判断できません。自宅での体温測定に時間をかけたり、症状が治まるまで様子を見たりせず、体を冷やしながら動物病院へ連絡してください。
熱中症が疑われるときの冷やし方
冷房や扇風機を使いながら、常温から冷たい程度の水で体をぬらします。特に首、脇の下、内股などをぬらし、風を当てると体の熱を逃がしやすくなります。
氷水に全身を浸したり、保冷剤を長時間直接当てたりする必要はありません。また、意識がぼんやりしている犬や吐いている犬へ、無理に水を飲ませるのは危険です。
呼吸が少し落ち着いたように見えても、熱中症では体内の障害があとから進むことがあります。冷却だけで終わらせず、動物病院の指示を受けてください。
→ 犬の熱中症の症状と応急処置
暑くなくてもパンティングが止まらない原因
犬は痛み、不安、緊張、発熱、吐き気があるときにもパンティングをします。夜に落ち着かず歩き回る、震える、背中を丸める、触られるのを嫌がる場合は、どこかに痛みがあるかもしれません。
プレドニゾロンなどのステロイド薬を飲んでいる犬では、副作用としてパンティングが増えることがあります。また、肥満、クッシング症候群、貧血、心臓病、気管や肺の病気でも呼吸が速くなることがあります。薬を自己判断で中止せず、症状が始まった時期と投薬内容を獣医師へ伝えてください。
→ プレドニゾロンの副作用と注意点
すぐに受診したいパンティング
胸やお腹を大きく動かしている、首を伸ばして呼吸する、横になれない、舌が紫色または白っぽい、急にぐったりした場合は、単なるパンティングではなく呼吸困難の可能性があります。
歩かせたり、無理に水を飲ませたりせず、できるだけ興奮させないようにして受診してください。
→ 呼吸が苦しい。肺や胸の腫瘍かも
動画を撮っておくと診断の助けになる
病院へ着くころには呼吸が落ち着き、症状を確認できないことがあります。パンティングが始まった状況、続いた時間、室温、運動の有無を記録し、胸とお腹の動きが分かる動画を撮っておきましょう。
「暑いから」と決めつけず、安静にしても止まらないパンティングは、体調不良のサインとして考えることが大切です。
