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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
あなたは悪くありません
猫のリンパ腫で後悔して、このページにたどり着いたのだと思います。治療を選んでも、選ばなくても、「本当にこれでよかったのかな」「もっとできることがあったのでは」と考えてしまうことがあります。
後悔は、愛情が深いほど大きくなります。何も感じない人は、後悔すらしません。どうか、自分を責めないでください。
もっと早く気付けばよかった
猫のリンパ腫は、気づくのが難しい病気です。食欲が少し落ちる、体重が少し減る、吐く回数が増える。どれも高齢猫ではよくある変化です。
だから、「もっと早く気づけたら」と自分を責める必要はありません。獣医師でも診断に時間がかかることがあります。あなたが悪いわけではありません。
抗がん剤をしなかった後悔
高齢だから負担をかけたくない。通院が難しい。副作用が心配。家で穏やかに過ごさせたい。治療を見送る理由があったと思います。
どれも、猫のことを思っての選択です。
ただ、その後に元気な姿を見ると、「治療していたら違ったのでは」と考えてしまうことがあります。リンパ腫は抗がん剤に反応しやすい腫瘍のため、この後悔は生まれやすいのだと思います。
→ 化学療法まとめ
抗がん剤をした後悔
一方で、治療を選んだことで後悔することもあります。通院が増える。薬を飲ませるのが大変。病院を嫌がる姿を見るのがつらい。そんな時、「もっと家で過ごさせてあげればよかった」と感じたことがあったかもしれません。
でも、抗がん剤によって食欲や元気が戻り、穏やかな時間が増える猫もいます。治療を選んだこと自体が間違いだったとは限りません。
苦しませたのではないか
亡くなった後に多いのは、「苦しませたのではないか」という後悔です。「もっと早く治療をやめるべきだったのでは」「もっと頑張るべきだったのでは」。正反対の後悔が同時に生まれたのかもしれません。
これは飼い主さんが真剣に向き合った証拠でもあります。本当に何も考えていなければ、後悔そのものが生まれません。
→ ギフトタイム(大切な時間)とは何か
後悔を少なくするために
リンパ腫の治療を考えている方でしたら、後悔を少なくするために、何を優先するかを決めてください。少しでも長く生きてほしいのか。通院の負担を減らしたいのか。家で穏やかに過ごす時間を大切にしたいのか。
寿命を優先するなら、抗がん剤治療を考えます。通院負担を減らしたいなら、ステロイド単独や通院頻度を下げる治療を考えます。家での時間を優先するなら、吐き気、痛み、食欲の管理を中心にした緩和ケアを考えてください。
まとめ
猫のリンパ腫で後悔する方はたくさんおられます。しかし、多くの場合、後悔しているのは治療法そのものではありません。
「最善を尽くしたかったか?」
その気持ちです。
その気持ちがある限り、あなたは十分に向き合っていたと思います。どの選択をしても迷いは残ります。それでも、猫のために考えて選んだことですから、それは意味のある決断だったと思います。
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