犬の乳腺腫瘍、手術しない選択はあり?後悔しないための判断

犬の乳腺にしこりが見つかったとき、「手術をした方がいいのか、それとも様子を見てもいいのか」と悩まれる方は少なくありません。特に高齢だったり、心臓病などの持病がある場合には、「手術は負担が大きいのではないか」と迷われることも多いと思います。手術をしないという選択が現実的なケースもあります。ただしそれは、「放置する」という意味ではありません。その後どうなる可能性があるのかを理解したうえで、方針を決めることが重要です。

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

なぜ手術が勧められることが多いのか

犬の乳腺腫瘍は約半数が悪性とされており、時間とともに大きくなったり、転移したりする可能性があります。そのため一般的には、「小さいうちに取りきる」という考え方が基本になります。実際、腫瘍が小さいうちであれば、比較的シンプルな手術で対応でき体への負担もありません。

手術しない選択が現実的になるケース

一方で、すべての症例で手術が最善とは限りません。例えば、

・高齢で体力的な余裕が少ない
・心臓病などの持病がある
・麻酔リスクが高い
・生活の質(QOL)を優先したい

といった場合には、手術を行わず経過を見ていく選択が現実的になることもあります。これは「治療をあきらめる」ということではなく、無理のない選択をするという考え方です。

手術をしない場合、実際にどうなることがあるか

手術を行わず経過を見る場合、その経過は一様ではありません。小さいまま長期間ほとんど変化しないケースもあれば、徐々に大きくなっていくケースもあります。しこりが大きくなり、皮膚が伸びてぶら下がるような状態になることもあります。特に高齢で麻酔が難しい場合には、そのまま生活を続ける選択が取られることもあります。さらに進行すると、皮膚が薄くなって破れたり(自壊)、出血や感染を伴うこともあります。そのような場合には、腫瘍の負担を減らすために部分的に縛って壊死させる処置や、出血や臭いを抑える外用処置(モーズペーストなど)で対応することもあります。

判断のポイントは「今の状態」と「変化」

手術をするかどうかを考えるうえで重要なのは、「今どういう状態か」と「これからどう変わりそうか」です。
例えば、

・短期間で大きくなっている
・数が増えてきている
・皮膚に変化(赤み・ただれ)がある

こうした場合は、より積極的な対応が必要になることが多くなります。
一方で、

・長期間ほとんど変化がない
・体調が安定している

といった場合には、経過観察が選択されることもあります。

後悔しやすいケース

実際に多いのは、「もう少し早く相談していればよかった」というケースです。最初は小さく、手術もしやすい状態だったものが、時間の経過とともに大きくなり、選択肢が限られてしまうことがあります。
「様子を見るか迷っている」時点が、すでに相談のタイミングです。

まとめ

・手術しない選択も現実的にあり得る
・ただし「何もしない」わけではない
・経過によっては大きく変化することがある
・判断は「状態」と「変化」で行う
大切なのは、早い時点で納得のいく選択をすることです。

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